養子縁組による相続トラブル|よくある事例や対応策など
相続が発生した際に相続人となるのは、被相続人の配偶者をはじめとする直系尊属、直系卑属、兄弟姉妹などがあげられます。
その中でも忘れられがちなのは養子の存在です。
本ページでは、養子縁組において発生しやすい相続トラブルについて解説をしていきます。
◆養子縁組とは
養子縁組は、本来親子関係にない人同士で、法律上の親子関係を発生させることをいいます。
養子縁組によって発生する法律効果は様々であり、以下のようなものがあります。
・養子は原則として、養親の氏を称する。(民法810条)
・容姿が未成年の場合、養親に親権が発生する。(民法818条2項)
・相互に扶養義務が発生する。(民法877条1項)
そして最も重要なものが民法887条1項に規定されている、養子は養親の相続権を取得するというものです。
養子縁組にはさまざまなパターンがあり、孫を養子縁組するものや、子どもの結婚相手と養子縁組をするものや、節税目的での養子縁組などがあります。
◆パターン別の養子縁組での相続トラブル
・孫を養子縁組にした場合の相続トラブル
孫を養子縁組にする動機としては、孫に遺産をあげたい、相続をさせたいという目的によるものが多くなっています。
孫は祖父母の相続権を有していないため、代襲相続というものが発生しない限りは、祖父母の財産を承継することができません。
しかしながら、養子縁組になることによって、実子と対等な相続権を得ることができます。
しかしながら、被相続人の孫が養子として相続をする場合には、孫に課される相続税が2割加算されてしまうため、予想外に相続税が高くなって、相続税を支払うことができないという事態が発生してしまうことがあります。
・子どもの結婚相手と養子縁組をした場合のトラブル
家業などを継がせる目的で、子どもの結婚相手と養子縁組をするというケースがあります。
このパターンでの注意点は、子どもが離婚をしてしまった場合であっても、子どもの元配偶者には依然として相続権が残ってしまうため、のちにトラブルに発展してしまうというものです。
養子縁組を解消する手続きはしっかりと定められており、離縁というものがあるので、しっかりと手続きをしておきましょう。(民法811条以下)
養子側から離縁を拒否することもできるため、離縁の場合には裁判に発展するリスクがあるということも理解した上で、養子縁組をすることを推奨いたします。
・結婚相手の連れ子と養子縁組をした場合のトラブル
結婚相手に連れ子がいる場合に、法律上の扶養関係を発生させるという目的で、養子縁組をするというケースがあります。
このケースも上記のケースと同様に、離婚をした場合には、連れ子と離縁しなければ、相続権が残ってしまいます。
・同性パートナーと養子縁組をした場合のトラブル
日本では同性婚が認められていないため、同性のパートナーに相続権を与えるために養子縁組をするというケースがあります。
しかしながら、遺産分割協議になった際に、LGBTに対する理解のない方から反対をされてしまったり、トラブルに発展する恐れがあるため、他の相続人に事前によく説明をしておく必要があります。
・節税目的での養子縁組をした場合のトラブル
相続税には基礎控除額というものが設けられており、基礎控除額に達するまでの相続財産については、相続税が課されません。
基礎控除額は法定相続人の人数に応じて、その額が引き上げられるため、養子縁組を結ぶことによって相続人の人数を増やそうとされる方がいらっしゃいます。
しかしながら、法定相続人の数に養子をカウントできる数には上限が存在します。
実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人までとなっています。
むやみに養子縁組をしたせいでのちにトラブルに発展してしまう可能性があるため、節税目的での養子縁組は慎重に行った方が良いといえるでしょう。
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