故人の口座が凍結された場合の対処法
相続が発生し、金融機関が口座名義人の死亡を把握すると、故人名義の銀行口座は凍結され、預金の払戻しができなくなります。
実務上、「葬儀費用や当面の生活費を親の口座から出そうと思っていたのに、急に引き出せなくなり途方に暮れる」というご相談が非常に多く寄せられます。
本記事では、口座が凍結された場合の具体的な対処法について、神戸の弁護士が解説します。
相続発生後に口座が凍結される理由
金融機関は、口座名義人の死亡を把握した場合、当該口座の入出金を停止します。(※役所に死亡届を出したからといって自動的に全国の銀行が凍結されるわけではなく、親族からの連絡や新聞のお悔やみ欄などで、金融機関が独自に死亡の事実を知った時点で凍結されます。)
一般に、これを口座の凍結といいます。
口座名義人が死亡すると、その預金は個人のものではなくなり、相続人全員の共有財産(相続財産)となります。この段階で特定の相続人が単独で払戻しを受けると、他の相続人の持分を侵害するおそれがあります。そのため金融機関は、相続関係や取得者が確認されるまで払戻しに応じない取扱いをしています。
誰かが勝手に引き出して使い込んでしまう「争族」トラブルを防ぐための、金融機関側の防衛策でもあります。
凍結された口座から預金を払い戻す方法
凍結された口座から預金を払い戻す方法は、遺言の有無や遺産分割協議の状況によって異なり、主に次の3つの場合に整理できます。
- 遺言がある場合
- 遺産分割協議が成立している場合
- 遺産分割協議が成立していない場合
それぞれについて具体的にみていきましょう。
遺言がある場合
有効な遺言がある場合には、原則としてその内容に従って預金の帰属が定まります。
遺言により取得者が指定されているときは、当該相続人が金融機関に対して払戻しを請求します。金融機関は、遺言書の形式や内容を確認したうえで、所定の手続により払戻しを行います。
ただし、自筆証書遺言(法務局での保管制度を利用していないもの)の場合は、事前に家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。
また、遺言執行者が指定されていない場合、金融機関によっては相続人全員の署名・捺印を求めてくるケースもあり、想定以上に手続きが難航することがあります。
遺産分割協議が成立している場合
遺言がないときは、相続人全員で遺産分割協議を行い、預金の取得者を決定します。
協議が成立した場合には、その内容を証する書面(遺産分割協議書)に基づき、金融機関へ払戻しを請求することになります。
相続人全員の合意(全員の実印による押印と印鑑証明書の提出)が確認できれば、指定された取得者に対して払戻しが行われます。
実務上、「長年疎遠になっている親族から印鑑証明書をもらえない」「面識のない相続人がいて話が進まない」といったトラブルが極めて頻発するため、弁護士を代理人に立ててスムーズに同意を取り付けることが有効です。
遺産分割協議が成立していない場合
遺言がなく、遺産分割協議も成立していない段階では、預金の取得者が確定していません。
この場合、原則として金融機関は払戻しに応じません。
ただし、葬儀や被相続人の介護施設、病院への支払いに必要な場合には、民法改正により創設された「預貯金の仮払い制度」を利用して、払い戻しできるケースもあります。家庭裁判所の判断を経なくても、金融機関の窓口で一定額(原則として「該当口座の残高×法定相続分×3分の1」、ひとつの金融機関につき上限150万円まで)であれば、各相続人が単独で引き出すことが法的に可能です。
まとめ
故人名義の口座は、相続財産の保全と相続人間の権利調整のために凍結されます。
払戻しを受けるには、遺言または遺産分割協議により預金の取得者を確定させることが前提となります。
これらの手続きには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて集めるなど、膨大で専門的な作業が伴います。
相続の煩雑な手続きや遺産分割などで親族間トラブルがある場合には、早期に相続問題に強い弁護士へ相談することを検討してください。
神戸・三宮のゆずりは綜合法律事務所では、預金解約の窓口業務から、揉め事の法的な交渉・解決までを一括してサポートし、ご遺族の負担を大幅に軽減いたします。
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